2018年12月31日月曜日
NIKKOR-S Auto 1:2 f=5cm Nippon Kogaku Japan No.539718
Nikon F用の標準レンズとして生まれた5cm/F2。ダブルガウスの最前面に弱い凹レンズを配置してある、レトロフォーカスタイプで知られるレンズ。イカレックス用のウルトロン50/1.8も同タイプであるが、ウルトロンほど極端な凹レンズではなく見た目は殆ど平面ガラスに見える。
一眼レフの長いバックフォーカス長に対応する為にガウスのメリットである対象性を崩しての苦肉の策だったのでしょう。硝材の進化と共に消えてしまった構成。興味深いのはその後デジタル時代になってダブルガウスの対象性を崩して性能向上(?)を図ったレンズは前群ではなく後群の対象性を崩してる様子。前者が既存のレンズのバックフォーカス長を伸ばす目的なのに対し、後者は積極的に画質を向上させようとしてるのだと思うのだが、後群のガウスの対象性を崩したレンズは弊害を感じるのです。機会があれば全群と後群でどんな効果、影響があるのか光学の専門家さんに聞いてみたい。
ニッコールは構成的には筒を短く出来るレンズでも、小さいと立派に見えない理由で全長を長く大きくしてるレンズが沢山あると最近教えてもらった。
Sマウントの頃はマチマチだったルックスの意匠がFマウントは初期のレンズから確立されてます。カッコイイか否かは好みの問題でしょうが、一見でニッコールと判るのは秀逸。極最近発売されたミラーレス機のZマウントレンズは、洗練されてスマートだとは感じますが、一見では、どこのメーカーのレンズか判らない様なルックスなのは残念。
開放 - α7、JPEG
60年前の一眼レフ用の50mmレンズを作るのがチャレンジングな時代のレンズだと思うと、開放での描写は立派な物に思えます。中心付近の描写はシッカリしてる。アウトフォーカス部分のボケは硬いが流れは少ない。立派な物です。
開放 - α7、JPEG
最短は60cm。立派に見せる為に筒を長くしてあるなら45cmにして欲しいと感じてしまいますが、年代的に60cmは仕方無い。開放でも溶けずにシッカリと像を描いてるのは、これまた立派に感じます。最短域でもボケはリンギング強く硬い。
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
何も起こらずに良く写ります。
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
60年前のレンズを感じる描写を期待しても居たのですが、何も問題ないです。
使っていても湾曲も少なくて全くストレス無し。
開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
開放で数メートル先を撮っても好い感じ。極端に崩れたり、極端に周辺減光せず、中心はシッカリしつつの程よい甘さ。
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
ニコンの山中湖ロッジにお邪魔した時の早朝散歩。ニコンさんにお世話になるので5cm/2で行きました。
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
デジならば、いや~カッチリ。フィルムだとコントラスト低くなりそうだけど。
F2.8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
暗くてF2.8の撮影は結構甘い。中心以外は解像してない。カッチリ撮るなら最低F4、可能ならF5.6まで絞った方が安全。
F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16
実使用だと不満無い描写だったが、詳細に見てどうなのか?特に後継であるNIKOOR-H50/2と比べてみたい。
遠景テストの比較した結果を言えば、H50/2は、どの絞り値でも画質が向上してる。歪曲だけはS5cm/2が良好に見えるが、解像に関してはH50/2が一段切れが良い。改良、改善ってされてるのですね。対象性を崩してあるS5cm/2も倍率色収差が良好に補正されてるのは関心した。レトロする弊害は案外ないのかも?
実使用の印象通りF5.6に絞らないと遠景は甘い。周辺減光がF8やF11でもフラットになってる印象が無いのだがどうなんだろ?
F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16
ボケはH50/2と比較して明らかに硬い。ガウスの対象性を崩してある弊害が表れてカラーフリンジが目立つかもと想像していたが、残念ながらそれも無い。(残念な事ないけどw)
リンギングが目立つのは過剰補正なのだろうが、それが構成による避けられない物なのか、別要因なのかは判らない。今度専門家に聞いてみます。
60年前のNikon最初の一眼レフ用の標準レンズ。拍子抜けな位ちゃんと写るので安心して買って下さい。と若人へメッセージ。
こうなるとニコンミュージアムに飾ってある試作Fの標準NIKKOR-H 5cm/2が、気になってしょうがない。Fマウントでも無いのでデジタルでの実写は未だニコンでも行って居ないようす。Zマウント機で撮ってみて欲しい。いや、本当は同じα7で同じ定点地点で撮ってみたいなぁ。
2018年12月7日金曜日
AUTO MIRANDA 1:1.4 f=50mm LENS MADE IN JAPAN 2812335
ミランダ一眼レフ用の50mm/f1.4は幾つかの筒のバリエーションがあるが、AUTO MIRANDA EC50/1.4以外は基本的には同じレンズ光学設計の様です。絞りにクリックがあったり無かったり、フィルター径が違ったりとイロイロ年式によって違う模様。これはフィルター径52mmで絞りにクリックは無いタイプ。
造りは比較的モダンでスマートです。EC50/1.4の写りは少々倍率色収差が目立つ物でしたが、より以前のレンズである当レンズの写りは如何な物か?フィルム時代の印象では良くも悪くも然したる印象は無い。
開放 - α7、JPEG
リンギングがあってカラーフリンジの乗る古典的な後ろボケ。大きく像が流れたりせずにナカナカ頑張ってる。フレアっぽくコントラストは低い。デジだとコントラスト与えられるが、カラーフィルムだと残念そうだ。そう、思い出したリバーサルで撮って残念だった記憶がある。良く言えば優しい写りw 湾曲は優秀。
開放 - α7、JPEG
最短は43cmと目盛りあるが実測は40cmくらいなのでは?フチ子が何時もより一回り大きい。この距離でもコントラストは低いのは同じだがピント部はある。
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
好い感じである。このタイプの像は崩れずフレアでコントラストが低い写りは、デジで程よくコントラスト上げると現代レンズのスコーンと抜けるのとは異なるが、程よく解像しながら優しい感じに仕上がる。50年前のレンズだがデジだとね。
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
逆光だとフレアで色も濁ってしまった。順光で優しい写りなので逆光だとホニャホニャだ。
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
F5.6 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
曇りや日陰が得意。
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
優しいのはいいけど、逆にパリっとスコーンとはしてくれない。
F4 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
F1.4 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16
遠景テストを、開放でも線が太くなって抜けは悪いが像は流れない。F2で抜けが一段上がる、それよりも良像がドーナツ状に改善されてる様な?球面収差図を見てみたい写りだ。F2.8まではイマイチ。F4からが安全圏。周辺光量落ちもF2.8までは目立つ。F5.6、F8と画質t向上してF8なら不足なく写る。F8では最外周は甘いがF11なら最外周もやや甘いが改善する。キチンと作られてるレンズです。倍率色収差に関しては、新型のEC50/1.4より当レンズの方が良く補正されてる様に見える。色ズレの量は大した違いは無いかも知れないが、EC50/1.4の方がクッキリ色がズレてる。
F1.4 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16
カブの近接ボケテストは、この条件だと後ボケの二線ボケも溶けてしまって綺麗。過剰補正レンズのせいか前ボケも綺麗。遠景だとストンと四隅が減光するのも、なだらかになって程よいトンネル効果。グルグルするような癖の強い写りでは無い。この距離の開放の写りは綺麗な印象絵画的だ。真面目に好いかもしれない。
今現在マウントアダプターを入手して、ミランダのレンズを敢えて選ぶ価値は微妙かも知れないけど、EC50/1.4も、このレンズもフィルム時代より今の方が楽しめるレンズに思える。