2019年2月26日火曜日

SIGMA 50mm 1:1.4 DG HSM EX (11845189)



今や純正メーカーもレンズメーカーからも次々に発売される50/1.4や50/1.2クラスですが、ずーーーっと長い事純正レンズも光学設計は更新されずに、レンズメーカーからも発売されることは無く。置き去りにされ続けて居た標準レンズに一石を投じて、今の標準レンズ流行りのキッカケになったレンズがシグマの50/1.4 DG HSM EXです。初期のタイプは時間経つと劣化して外装ボロボロになるシグマ自慢のZEN仕上げでしたが、後にリニューアルしてZEN仕上げをヤメてツルツル仕上げになります。これはそのツルツルの後期型です。

このレンズは発売すると特にキヤノンユーザーに好評で大いに売れた様です。丁度デジタル一眼レフが大きく普及し、若いキヤノンユーザーの女性ポートレート流行りに嵌った様子。EOSで手軽に買える大口径レンズだったEF50/1.4が、正直言って最新デジで撮影して幸せを感じられない描写だったので飛びついたのかな。この時代あたりからシグマはブランドイメージをグングン高めて行ったと感じてます。



このレンズはデカイです。フィルター径はΦ77。まじヤメて欲しいw
さらに重いです。これはソニーAマウント用ですが実測509gあります。まじヤメて欲しいw
リリースされた当時に「デケーなぁ~、ヤメて欲しいよ」と思ってましたが、その後ブームとなって各社から発売される標準レンズは、もっと巨大になって今に至ってます・・・・

こんど発売されるNikon ZマウントのF0.95とか、Canon R用のF2ズームとか、大きくて明るくて高画質なレンズに財布の紐が緩むのをメーカーさんがあてにして作られるのでしょうか?今は空前絶後の高級レンズブーム時代。まぁ、その内皆さん正気に戻って手頃な大きさの手頃なレンズが流行って来るのでは?怖いのは正気に戻った頃には交換レンズ式カメラがオワコンになってしまってる状態だな・・・・



α7にアダプター挟んで装着してるから余計にデカク見えるのかと思って、α33につけて見た。純正フード装着した様は、やっぱデケーよw。85/1.4にしか見えない。



なんて思っていたら1982年の雑誌「写真工業」に、こんなシグマの広告を見つけてしまった。お客様の懐や利便性を考慮して「フィルターサイズにまで心を配りました。」と自画自賛してる広告・・・

正直に言うと、このレンズにはあまり興味・関心がなかった。今の技術で大きさに余裕もって50/1.4を作れば、よく写るのは当然に思えて、「まぁ当然、当たり前に素晴らしく良く写るのだろうなぁ」と思っていたワケ。気持ちが冷めっちゃってる感じで興味がわかない状態だったのですが、使って見たら、すごーく興味深く面白かった。レンズ設計は簡単な話じゃないのを再確認。


開放 - α7、JPEG

お猿さん、開放から見事な描写。コントラストも解像も素晴らしい。流石21世紀レンズ。古典的なレンズとは一線を画します。ボケも滑か。

これ撮って背面液晶で確認した後は「凄いね~今のレンズは、やっぱコレくらい写っちゃうのね。」と関心して、何も気にせずに写真撮影してました。


開放 - α7、JPEG

最短付近での描写もシッカリ&クッキリ、見事な物です。開放最短域でも像が崩れてません。後ボケに細いカラーフリンジがありますが、リンギングが無く綺麗なボケです。


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

隅までビシーっと素晴らしく良く写ります。発色もコントラストも素晴らしい。昔の一眼レフの標準レンズとは違います。


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

遠景はバッチリシャープ。その点では僕との相性もいいレンズ。RAW現像してても楽しい。


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

僕を含めたオッサン世代には少なからずシグマレンズへのネガティブなイメージを持ってる人も居ると思うのだが、そんなネガティブなイメージは不要。逆光耐性も立派な性能でフレアやゴーストが気になる場面は無かった。重いのさえ気にしなければ、全くもって素晴らしい。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

開放で近めを撮ってもフォーカス部はシャープに切れる。古典的なレンズは、この手の距離感を開放で撮影すると、深度から外れたピンぼけの他に収差で像が流れたり溶けたりしてエフェクト的になるのだが、このレンズはシッカリ描写してる故にピンぼけ以外のエフェクトはあまりない。50/1.4の開放にしては背景を硬く感じる。ちゃんとしてる結果なのでレンズに罪はないけど、開放での描写は面白みはあまりない。


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

基本的には僕の写って欲しい通りに写る素晴らしいレンズ。少し位描写が甘いレンズでも本人以外にはプリント時にはバレ無いので問題は無いけど、撮影して現像してる時にチャント解像して写ってるレンズと、甘いレンズでは気持ち良さと満足感が違う。これは大いに満足なレンズです。

手放しに褒めて来たけど、実は撮影時に少々違和感も感じてます。EVFでフォーカシングしてると「んぅ~ん?あぁ~そうなのかぁ」ってね。では、テストに。


F1.4 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16

流石21世紀レンズ、開放でも像は崩れません。解像は甘くは成りますがシッカリした物です。中心部はキレもあります。絞っていくと素直に画質が向上して行きます。F4で実用的には全く問題ないと思えます。F8なら隅まで文句なし。倍率色収差は想像してたよりあります。解像が高い故か、色ズレもクッキリ見えるのか左のROUTE INNホテルの窓と白い壁部分の境に煩さを若干感じる。もっともRAW現像の時に、こうしたタイプの倍率色収差は取りやすいので、あまり問題ではない。像が流れるレンズに倍率色収差が乗ってると滲んで現像時にケアし難いですが、それとは違います。

-- 2020.9.28 --
さっき気づいた。このレンズは焦点距離すこし短い。
45mmまでは短く無いけど、47mm位かな。


F1.4 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16

さて、今まで褒め続けて来ましたが、ここで先程触れたEVFでフォーカシングしてる時に気づいた違和感が現れます。背景のボケは柔らかく綺麗です。が、前ボケ部が汚い・・・・硬いのもそうですが、それよりも汚い。

経験無い位のパープルフリンジが前ボケ部に乗っかってます。カラーバランスが崩れて見えるくらいに紫乗ってます。これが撮影してピント合わせてる時に気づいた違和感。フォーカスを前に外すと色が乗っかって来るのがEVFでも判りました。

このレンズの構成図を見ると、一番後ろにソコソコパワーのある非球面レンズを入れて、ダブルガウス型のパワーバランスを崩してある構成です。これが性能にどう影響してるのかは分かりませんが、少なくともガウス型の美点の対称性の高いバランスの良さを崩してしまってるのは、あると思います。

要するにピーキーな性能なのです。写真用レンズは無限遠から近接まで使用します。レンズの描写性能はアッチ立てればコッチ立たず的な物なので、それの落とし所を決めなければ成らないハズです。その逆に半導体露光用のレンズなどはピーク性能だけを狙ったレンズです。写真用レンズの難しさはソコにあると思います。このレンズのピーキーな性質は意図された物なのかは不明ですが、今のシミュレーションによる設計ならば、当然結果は判っている上での設計なのだと想像します。だとすればソコに思想が見えて来て面白く興味深いです。今ほどシミュレーションが出来ない時代は、設計者が経験でバランスを取って、無限遠と近景での性能の落とし所を探っていたワケです。予想や狙い通りに成らなかった事も多いと思います。逆に言えば今のレンズは思想を反映しやすいハズなので、シグマさんがこのレンズをピーキーにした事に興味があります。

シグマの標準レンズは、この後により大きく複雑な構成になっていきますが、思想の変化はあるのでしょうか?それともピーキーな思想は続いているのか?どんなバランスがシグマの答えになってるのか、俄然興味がわいて来ました。

それと昔の設計者さんは手探りの中でセンス良い仕事をしてたのだな、とも感じます。

2019年2月20日水曜日

1NIKKOR 18.5mm 1:1.8 Φ40.5 (1520004735)



Nikon1 CXマウント用の単焦点標準レンズ、18.5mm/F1.8です。Nikon1はこのままフェードアウトして行ってしまうでしょうが、個人的にはV1・J1の第一世代機から高く評価していた。システムとしての可能性に期待して居たので大事に育てて欲しいと願ってたのだが非常に残念。Nikon1の先進性は今の最新型135フルサイズ・ミラーレス機が誇る、消失しないEVF、まるで動画のような高速連写等をV1やV2で実現してた事でも明らか。あのまま正常進化を続けて居れば高性能小型システムになったので本当に残念。

デジタルなら出来る事を示したデジタルガジェット的な面白さに満ちた規格だった。低解像度ながら1200fpsのハイスピード撮影なんて、デジタルサンプリングマシンとして素晴らしい機能。インターバル撮影も搭載してた。(V2で消えちゃったけど・・・)

ピクチャーモードの種類を競うのなんてどうでもいい。デジタルカメラはサンプリングマシン。ピクチャーモード等はサンプリングした後のデーター処理の話なんでサンプリングの性能では無い。ソフトの後処理の話。サンプリングマシンとして大切な本来の機能を高めるのがデジタルカメラの進歩の王道。AF性能、連射性能、シャッター性能、Dレンジ、サンプリング解像度、大きさ重さ、堅牢性、操作性、等など様々な撮影シーンで、より良いサンプリングが出来る可能性を高める進歩を目指して開発して欲しい。

残念ながら市場で価値を認められずにオワコンとなるのが惜しくて愚痴が長くなりました。本題に・・・



18.5/1.8が出てきた時は正直意外に感じた。先進性で突っ走るのかと思って居たのでね。Nikonさんも迷いがあった様子で、尖ったデジタルガジェットで突っ走ってもお客さんがついて来ないので、あれこれ試行錯誤だったのだと思える。試行錯誤の結果がV3からの路線変更。他社の小型のミラーレスに歩調を合わせて「僕もそっちの仲間ですよ~」って阿ってしまった感。(あ、また愚痴になっちゃった・・・)

18.5mmは、こうして僕の玩具になってるワケなので、存在は嬉しいですけどねw

こうしてV1につけると前玉小さくて格好はイマイチ。



1NIKKORのバヨネットフードはスグ取れちゃうので嫌い。Φ40.5なのでRFレンズ用のネジ込フードを付けてます。この方が見た目もカッコ良く見える。

このレンズAFを作動させるとチキチキと音がします。中古で買ってきてチキチキ言うので壊れてるのかと疑ったけど、Nikonの人に訊いたら「チキチキで正常」と言うので正常らしいです。あまり嬉しい感じはしないよチキチキ・・・

チキチキ以外は不満点ない。絞りリングどころかピントリングすらないので操作性もなにも関係無い。ピントリングも絞りリングもなくて全部ボディから操作。MFはボディのダイヤルをクルクル回してピント合わせる。決してやりやすい方式では無いけど、全部AF任せで撮って、MF使うのは三脚据えての接写くらいなので不都合は余り無い。OM707の時代とは様変わりした物です。

ミラーレス黎明期のカメラなので、得手不得手もあったり、動作も首傾げる所もあるけど、それだけに開発重ねて熟成して欲しかった規格だね・・・ あ、また愚痴に・・・


開放 - Nikon1 V1、JPEG

大口径F1.8と言えど18.5mmなので、こんな感じ。135判でのF5.6位の深度なのでね。その分開放でもクッキリ写ります。樽型湾曲は目立ちます。開放F値が明るいからと大きなボケを期待して買うとガッカリする人も居るかもね。

初期の機種であるV1やJ1等はJPEGの画像エンジンがイマイチ超えて残念な画を吐く時が多々あり、買った一般ユーザーをガッカリさせて売上減少にマイナス貢献してたのもジリ貧の一要因かも・・・愚痴。


開放 - Nikon1 V1、JPEG

いつものフチ子をいつもぐらいの距離で撮ると、こんな感じ。クッキリ綺麗に写って、それほどファンタジーな写りにはなりません。

Nikonでは135判フルフォーマット規格をFX、APS-Cサイズ規格をDX、Nikon1規格をCXと、それぞれ名称付けて居ます。最近のミラーレス機はショートフランジバック規格と言われてます。それは従来のFXやDXと比較して比率的にバックフォーカスが短い規格になって居るからです。CXシステムのバックフォーカスは17mmですが、NikonのエンジニアさんにCXはショートフランジバック規格では無いと説明されました。言われてみればその通りです。CXのDX換算焦点距離は凡そ2.7倍です。NikonのDXの規格Fマウントのフランジバックは凡そ46mmです。46mmを2.7で割ってみれば凡そ17mmになります。CX規格は比率的にはDXと同じなのが分かります。CX規格はDX規格の縮小規格なのです。

縮小規格だから何だ?と言うと、使用者には関係無いのですが、設計する側の話はショートフランジバックの規格とは話が変わって来るハズ。標準レンズの話で言えば、バックフォーカスの長い一眼レフはLeicaのようなRF機に比べて標準50mm位のレンズの設計が難しいのですが、最新のNikon Zや、SONY FEやCanon Rなどミラーレス機はLeicaよりも設計自由度が上がって画質向上に有利な規格です。でもCX規格の標準レンズは一眼レフ用レンズと同じ設計上の苦労があります。あと、縮小しても同等性能を求めると要求される性能精度は、やっぱり2.7倍なので大変そう。


開放 - Nikon1 V1、JPEG

このレンズの最短撮影距離は20cmです。それぐらいによって撮ると深度の深いこのレンズでもこうなります。前回のAF NIKKOR 50/1.8と比べてみると分かりやすいと思います。このレンズはインナーフォーカスなので2.7倍の理屈の現象が、そのままは現れませんが納得出来ると思います。


開放 - Nikon1 V1、JPEG

縮小光学なので被写体も縮小してフィギュアのポートレート撮影会にはピッタリなレンズですよw


F3.2 - V1、RAW>Lightroom>PhotoShop


F3.2 - V1、RAW>Lightroom>PhotoShop

持ち歩いて、こういった撮影をする時には縮小規格の意識は不要。普段の気持ちと変わらずに撮影出来る。EVFでの撮影は光学一眼レフと異なりセンサーの大きさはファイダー像の大きさに関係無い。気をつけるのは絞り値。いつものα7と50mm位のつもりでF8で撮っちゃうと絞り過ぎ。回折で像が甘くなってしまうのでF2.8前後を意識して撮る。


F2.8 - V1、RAW>Lightroom>PhotoShop


F2.8 - V1、RAW>Lightroom>PhotoShop


F3.2 - V1、RAW>Lightroom>PhotoShop

V1はDレンジが少々狭いのが辛いが、センサーのDレンジに収まってる撮影なら意外と素直なデーターを得られる。他社の小型センサーミラーレス機のデーターより化粧が少なくてRAW現像に適してるデーターを得られる。後継機のV2よりもセンサーサイズと解像度の無理が無いのか、嫌な感じが少ない。


F3.2 - V1、RAW>Lightroom>PhotoShop



F3.2 - V1、RAW>Lightroom>PhotoShop

このレンズは樽型の湾曲が大きい。V1は自動歪み補正が非搭載なのでファインダーの中で盛大に曲がってる。RAW現像時にプロファイルをあてれば補正されるが、視野率100%で撮ってたのが削られる事にはなります。


F2.8 - V1、RAW>Lightroom>PhotoShop

マクロレンズ程ではないが135判の標準レンズより、ぐっとよって換算撮影倍率が2.7倍。なので手持ちスナップならマクロレンズ要らず。絞り過ぎないとの、普段より寄れる事を意識して歩いてると普段と違う被写体にも目が向く。その点で撮影範囲は135判標準レンズより広いレンズです。


開放 - V1、RAW>Lightroom>PhotoShop

開放で撮ってないのを気づいて、やっつけで撮った花。小さい被写体は得意です。この条件のボケは少々硬いと感じますけど・・・


F2.8 - V1、RAW>Lightroom>PhotoShop


F3.2 - V1、RAW>Lightroom>PhotoShop

センサーDレンジが狭いので輝度差あると飛んじゃいます。135判デジなら空のトーンが残りますが残念ながら無いです。


F1.8 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16

テストはNikon1 V2で撮影してます。自動歪み補正はOFFです。いつものα7での撮影とは条件が違いすぎなので比較しても意味ないです。このシステムで撮影された結果を見るだけです。

湾曲が大きいのが遠景テストでも判ります。開放での写りは、いつも見てる135判の古いレンズからすれば非常に端正です。開放で像が流れて崩れる事はありません。小さいセンサー用の最近のレンズは開放から性能出るので開放で問題無いと伝え聞きます。しかし、F2.8くらいがベストの様子です。F8からは回折の影響でしょう、解像が悪くなってます。

NikonV1やJ1等のNikon1シリーズ初期の機種のPモードのプログラムラインは、大きなセンサーを積んだ機種のプログラムラインの流用らしく、CXフォーマットでは絞り過ぎの値で撮影されてしまう場面が多々あります。ちょっと間抜けな仕様です。Aモードで絞り値を設定して撮影した方が良いです。面倒くさいですけどね・・・


F1.8 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16

ボケ量に関しては135判とは比べものにならないですが、逆に深度が欲しい時にはありがたいです。ボケの量より少々硬く二線ボケ傾向なのが、今どきのボケるのがウリの大口径レンズとしては意外な感じです。前ボケ側にパープルフリンジが見られます。

ボケと関係ないですが、前玉動いてる様子は無いので、インナーフォカースかリアフォーカス(多分リア)なので全体繰り出しのレンズと比べて随分ワイドになってます。全体繰り出しのレンズは近接時は焦点距離長くなるので、結構な差が開きます。

とっさの時に沈胴ズームを繰り出すのは、まどろっこしい時もあります。10-100mmのズームはメチャクチャ便利ですが1NIKKORの中では重いです。その点で18.5/1.8は軽くて電源入れれば即片手で撮影出来ます。1インチセンサー搭載のレンズ固定のコンパクトカメラも多く売られていますが、それらより沈胴しないレンズの余裕か性能も確かです。Nikon1もってる人は入手して使ってみたら面白いですよ。出来ることが少ないのは考える事も、やる事も少ないので脳ミソにも軽快です。実測71gの標準レンズお薦めですw

2019年2月4日月曜日

AF NIKKOR 50mm 1:1.8 (4592180)



全身プラスチックのAI AF NIKKOR 50/1.8Sです。これの距離情報入りのDタイプは2019.2月現在もカタログに載ってます。市場価格では2万円弱なのでCanonのEF50/1.8STMと同じく手軽に買える単焦点交換レンズだけど、これが話題になる事はあまり無いですねー。恐らく中身はシッカリしてるのでしょうが、外装は何もここまでしなくてもって位にオールプラスチックです。マウント以外は全部プラ。

さて、このレンズは薄型標準レンズのSeries E50/1.8と光学は同じだそうです。薄型で安価がセールスポイントのE50/1.8用に斬新なコンセプトで設計された様子のレンズ。で、わざわざ小さく薄く設計したレンズを一般的な大きさの筒に収めたのが、これの先祖のAi 50/1.8って事です。設計時からEとAi用として設計してるので、流用ってワケでは無いです。



ご覧のようにフード要らずです。(つけますけどね)これは最近知ったのですが、Nikonでは小さく出来る物を立派に見せる為に大きくしてたレンズは多々あったそうです。これもその内に入るレンズですね。マクロレンズの様にレンズが筒に奥まって収まっていてフード無くても大丈夫な位です。事実を知るまでは「フード効果を考慮して奥まってるのかな。」と解釈してましたが、実は商売的なハッタリだったのです。(笑) 身も蓋もない話は大好物なので美味しく頂きます。

Ai50/1.2Sと同じく光学設計は40年も前のレンズです。NIKKORの50/1.8は産業用としてアチコチで使われてる様子です。無くなると困る業界が沢山ありそうなので、まだまだ現役でいるのかも知れません。


開放 - α7、JPEG

お猿さんです。開放から中心部の描写はシッカリしてます。モヤモヤ感もありません。背景のボケ描写は年式らしい描写です。ボケのエッジにカラーフリンジ目立ち、二線ボケ傾向も強めかも。歪曲は非常に優秀ですね。電柱が真っ直ぐ突っ立ってます。


開放 - α7、JPEG

巨大フチ子の最短域です。このフチ子は15cm位ありますから勘違い禁止です。ボケのリンギングが細いですが強目。このタイプは僅かに絞れば無問題のレンズが殆どです。僕は写真への撮影結果としてのボケ描写は殆ど気にしません。キレイに滑らかにボケようが、二線ボケだろうが、どうでも良いに近い感覚。(ベッタリしたパープルフリンジはケアしますけど。)でも、ボケの様子は凡その球面収差の様子を教えてくれるので興味深い情報です。


F5.6 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

必要十分以上に良く写ります。僕はα7にアダプターでMFで使ってますが、純正ニコンの一眼レフで使用すれば軽快で快適に使えるでしょう。D610買った人がコレを買うとは思えないけど、中古でニコンのフィルムAF一眼を買ってみた若人にはお薦め。1000円で買えたD60とかに着ければ最高じゃないのw



F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

湾曲少ないレンズは縦構図で建物撮った時に幸せ。


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

アダプターでMFで使用してると不満なのがフォーカスリング。滑り悪くて残念。レンズ内モーターのレンズでフォーカスリングの感触がザラザラしてるのありますが、感触ザラザラでも操作に問題無ければ気持ちの問題。このレンズは動き出しに抵抗があって、動き出すとスカっと抜けるので微妙なピント調節がやり難い。実害のある感触の悪さです。AFで使った方が100万倍幸せです。


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

F8で極四隅以外はキッチリ描写するので安心。この手の被写体で端が流れてると残念ですからね。逆光耐性も気になる場面は無かったです。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

これは開放で砲口にピントです。中心でなくても開放でピントはそれなりにシッカリ。ボケは少々硬く詳細にみるとカラーフリンジも目立ちます。中景、近景を撮った時の背景のアウトフォーカス部が、現代のレンズほど考慮されてません。デジタルカメラでの撮影など思いもよらない時代のレンズですからね。(現役で売ってますけど・・・)


F1.8 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16 - F22

このレンズは最小絞りがF22まであります。デジカメだとF16やF22は微細なゴミが写り込んどしまうので滅多に使わないですね。このテストでも写ってますがご容赦下さい。

開放とF2は殆ど差がないです。中心は結構ヌケがいいです。周辺へは成り行きで像が甘くなって行きますが、流れて崩れるタイプではありません。画質向上は穏やかなレンズです。ある絞りから急激に描写が向上するタイプではないです。絞ると段々に向上してきます。F4やF5.6で実用十分写ると言えますが、本音のレベルではF8まで絞った方が幸せです。F5.6ではピリっとしません。F22まで絞っても最外周の本当の四隅は甘いです。小型化の為に極四隅は諦めてる様子です。左下のパラボナアンテナで分かりますが倍率色収差は良好に補正されてます。

周辺減光はF2.8まであります。F4でほぼ解消です。ここでも歪曲少なくて殆ど真っ直ぐなのがわかります。都会で使いやすいレンズです。


F1.8 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16 - F22

近景でのボケは、お猿さんの時よりキレイです。強いパープルフリンジもありません。抜群にキレキレだったりしません。飛び抜けたピークがあるレンズではありませんが、全体に程よくバランスの取れた設計が伺えます。ピーク性能を目指すと、ピークから外れた条件で粗が出ます。写真用レンズは無限遠から最短域まで撮影条件範囲が広く落とし所が難しいはずです。このレンズは小型化、低コスト、等の制約があるなかでピーキーにならずにセンスよく纏められたレンズと見受けます。