今や純正メーカーもレンズメーカーからも次々に発売される50/1.4や50/1.2クラスですが、ずーーーっと長い事純正レンズも光学設計は更新されずに、レンズメーカーからも発売されることは無く。置き去りにされ続けて居た標準レンズに一石を投じて、今の標準レンズ流行りのキッカケになったレンズがシグマの50/1.4 DG HSM EXです。初期のタイプは時間経つと劣化して外装ボロボロになるシグマ自慢のZEN仕上げでしたが、後にリニューアルしてZEN仕上げをヤメてツルツル仕上げになります。これはそのツルツルの後期型です。
このレンズは発売すると特にキヤノンユーザーに好評で大いに売れた様です。丁度デジタル一眼レフが大きく普及し、若いキヤノンユーザーの女性ポートレート流行りに嵌った様子。EOSで手軽に買える大口径レンズだったEF50/1.4が、正直言って最新デジで撮影して幸せを感じられない描写だったので飛びついたのかな。この時代あたりからシグマはブランドイメージをグングン高めて行ったと感じてます。
このレンズはデカイです。フィルター径はΦ77。まじヤメて欲しいw
さらに重いです。これはソニーAマウント用ですが実測509gあります。まじヤメて欲しいw
リリースされた当時に「デケーなぁ~、ヤメて欲しいよ」と思ってましたが、その後ブームとなって各社から発売される標準レンズは、もっと巨大になって今に至ってます・・・・
こんど発売されるNikon ZマウントのF0.95とか、Canon R用のF2ズームとか、大きくて明るくて高画質なレンズに財布の紐が緩むのをメーカーさんがあてにして作られるのでしょうか?今は空前絶後の高級レンズブーム時代。まぁ、その内皆さん正気に戻って手頃な大きさの手頃なレンズが流行って来るのでは?怖いのは正気に戻った頃には交換レンズ式カメラがオワコンになってしまってる状態だな・・・・
α7にアダプター挟んで装着してるから余計にデカク見えるのかと思って、α33につけて見た。純正フード装着した様は、やっぱデケーよw。85/1.4にしか見えない。
なんて思っていたら1982年の雑誌「写真工業」に、こんなシグマの広告を見つけてしまった。お客様の懐や利便性を考慮して「フィルターサイズにまで心を配りました。」と自画自賛してる広告・・・
正直に言うと、このレンズにはあまり興味・関心がなかった。今の技術で大きさに余裕もって50/1.4を作れば、よく写るのは当然に思えて、「まぁ当然、当たり前に素晴らしく良く写るのだろうなぁ」と思っていたワケ。気持ちが冷めっちゃってる感じで興味がわかない状態だったのですが、使って見たら、すごーく興味深く面白かった。レンズ設計は簡単な話じゃないのを再確認。
開放 - α7、JPEG
お猿さん、開放から見事な描写。コントラストも解像も素晴らしい。流石21世紀レンズ。古典的なレンズとは一線を画します。ボケも滑か。
これ撮って背面液晶で確認した後は「凄いね~今のレンズは、やっぱコレくらい写っちゃうのね。」と関心して、何も気にせずに写真撮影してました。
開放 - α7、JPEG
最短付近での描写もシッカリ&クッキリ、見事な物です。開放最短域でも像が崩れてません。後ボケに細いカラーフリンジがありますが、リンギングが無く綺麗なボケです。
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
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隅までビシーっと素晴らしく良く写ります。発色もコントラストも素晴らしい。昔の一眼レフの標準レンズとは違います。
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
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遠景はバッチリシャープ。その点では僕との相性もいいレンズ。RAW現像してても楽しい。
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
僕を含めたオッサン世代には少なからずシグマレンズへのネガティブなイメージを持ってる人も居ると思うのだが、そんなネガティブなイメージは不要。逆光耐性も立派な性能でフレアやゴーストが気になる場面は無かった。重いのさえ気にしなければ、全くもって素晴らしい。
開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
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開放で近めを撮ってもフォーカス部はシャープに切れる。古典的なレンズは、この手の距離感を開放で撮影すると、深度から外れたピンぼけの他に収差で像が流れたり溶けたりしてエフェクト的になるのだが、このレンズはシッカリ描写してる故にピンぼけ以外のエフェクトはあまりない。50/1.4の開放にしては背景を硬く感じる。ちゃんとしてる結果なのでレンズに罪はないけど、開放での描写は面白みはあまりない。
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop
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基本的には僕の写って欲しい通りに写る素晴らしいレンズ。少し位描写が甘いレンズでも本人以外にはプリント時にはバレ無いので問題は無いけど、撮影して現像してる時にチャント解像して写ってるレンズと、甘いレンズでは気持ち良さと満足感が違う。これは大いに満足なレンズです。
手放しに褒めて来たけど、実は撮影時に少々違和感も感じてます。EVFでフォーカシングしてると「んぅ~ん?あぁ~そうなのかぁ」ってね。では、テストに。
F1.4 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16
流石21世紀レンズ、開放でも像は崩れません。解像は甘くは成りますがシッカリした物です。中心部はキレもあります。絞っていくと素直に画質が向上して行きます。F4で実用的には全く問題ないと思えます。F8なら隅まで文句なし。倍率色収差は想像してたよりあります。解像が高い故か、色ズレもクッキリ見えるのか左のROUTE INNホテルの窓と白い壁部分の境に煩さを若干感じる。もっともRAW現像の時に、こうしたタイプの倍率色収差は取りやすいので、あまり問題ではない。像が流れるレンズに倍率色収差が乗ってると滲んで現像時にケアし難いですが、それとは違います。
-- 2020.9.28 --
さっき気づいた。このレンズは焦点距離すこし短い。
45mmまでは短く無いけど、47mm位かな。
F1.4 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16
さて、今まで褒め続けて来ましたが、ここで先程触れたEVFでフォーカシングしてる時に気づいた違和感が現れます。背景のボケは柔らかく綺麗です。が、前ボケ部が汚い・・・・硬いのもそうですが、それよりも汚い。
経験無い位のパープルフリンジが前ボケ部に乗っかってます。カラーバランスが崩れて見えるくらいに紫乗ってます。これが撮影してピント合わせてる時に気づいた違和感。フォーカスを前に外すと色が乗っかって来るのがEVFでも判りました。
このレンズの構成図を見ると、一番後ろにソコソコパワーのある非球面レンズを入れて、ダブルガウス型のパワーバランスを崩してある構成です。これが性能にどう影響してるのかは分かりませんが、少なくともガウス型の美点の対称性の高いバランスの良さを崩してしまってるのは、あると思います。
要するにピーキーな性能なのです。写真用レンズは無限遠から近接まで使用します。レンズの描写性能はアッチ立てればコッチ立たず的な物なので、それの落とし所を決めなければ成らないハズです。その逆に半導体露光用のレンズなどはピーク性能だけを狙ったレンズです。写真用レンズの難しさはソコにあると思います。このレンズのピーキーな性質は意図された物なのかは不明ですが、今のシミュレーションによる設計ならば、当然結果は判っている上での設計なのだと想像します。だとすればソコに思想が見えて来て面白く興味深いです。今ほどシミュレーションが出来ない時代は、設計者が経験でバランスを取って、無限遠と近景での性能の落とし所を探っていたワケです。予想や狙い通りに成らなかった事も多いと思います。逆に言えば今のレンズは思想を反映しやすいハズなので、シグマさんがこのレンズをピーキーにした事に興味があります。
シグマの標準レンズは、この後により大きく複雑な構成になっていきますが、思想の変化はあるのでしょうか?それともピーキーな思想は続いているのか?どんなバランスがシグマの答えになってるのか、俄然興味がわいて来ました。
それと昔の設計者さんは手探りの中でセンス良い仕事をしてたのだな、とも感じます。
さっき気づいた。このレンズは焦点距離すこし短い。
45mmまでは短く無いけど、47mm位かな。
F1.4 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16
さて、今まで褒め続けて来ましたが、ここで先程触れたEVFでフォーカシングしてる時に気づいた違和感が現れます。背景のボケは柔らかく綺麗です。が、前ボケ部が汚い・・・・硬いのもそうですが、それよりも汚い。
経験無い位のパープルフリンジが前ボケ部に乗っかってます。カラーバランスが崩れて見えるくらいに紫乗ってます。これが撮影してピント合わせてる時に気づいた違和感。フォーカスを前に外すと色が乗っかって来るのがEVFでも判りました。
このレンズの構成図を見ると、一番後ろにソコソコパワーのある非球面レンズを入れて、ダブルガウス型のパワーバランスを崩してある構成です。これが性能にどう影響してるのかは分かりませんが、少なくともガウス型の美点の対称性の高いバランスの良さを崩してしまってるのは、あると思います。
要するにピーキーな性能なのです。写真用レンズは無限遠から近接まで使用します。レンズの描写性能はアッチ立てればコッチ立たず的な物なので、それの落とし所を決めなければ成らないハズです。その逆に半導体露光用のレンズなどはピーク性能だけを狙ったレンズです。写真用レンズの難しさはソコにあると思います。このレンズのピーキーな性質は意図された物なのかは不明ですが、今のシミュレーションによる設計ならば、当然結果は判っている上での設計なのだと想像します。だとすればソコに思想が見えて来て面白く興味深いです。今ほどシミュレーションが出来ない時代は、設計者が経験でバランスを取って、無限遠と近景での性能の落とし所を探っていたワケです。予想や狙い通りに成らなかった事も多いと思います。逆に言えば今のレンズは思想を反映しやすいハズなので、シグマさんがこのレンズをピーキーにした事に興味があります。
シグマの標準レンズは、この後により大きく複雑な構成になっていきますが、思想の変化はあるのでしょうか?それともピーキーな思想は続いているのか?どんなバランスがシグマの答えになってるのか、俄然興味がわいて来ました。
それと昔の設計者さんは手探りの中でセンス良い仕事をしてたのだな、とも感じます。