2014年11月27日木曜日

CANON LENS EF 50mm 1:1.4 CANON LENS MADE IN JAPAN (2700429E)



言わずと知れたEOS用の50/1.4。実は一眼レフ用の標準レンズとしても興味深い一本なのである。ミノルタのα7000以降に各社AF一眼レフになって行くのだけど、それはカメラボディとズームレンズの新化の時代。80年代前半までに凡その単焦点レンズは必要にして十分な性能に達してしまったので、コーティングの改良などはあるにせよ、基本的には70年代後半から80年代前半に作られたレンズがそのまま流用されてるのが多かった。そんな中でEF50/1.4 USMは90年代に入ってから、新たに設計開発された珍しいニュージェネレーション・スタンダードレンズなのである。(ほんとかよ。)



絞りも含めて完全電気駆動レンズなので、他のカメラへの流用は基本的に無理なレンズだったのだけど。AFまで動作する中国製マウントアダプターが出てきてα7で不自由無く使えるようになった。素晴らしい中華アダプターは借物です・・・

それにしてもα7はキヤノンのレンズがNFD含めて良くマッチするな。純正みたいだ。

この素晴らしいアダプター、残念ながらEF50/1.0は物理的に蹴られる。撮影自体には支障無いけど、EF50/1.0の後玉はアダプターの内径よりデカイのでアダプター自体(と言うよりボディマウントも含めて)が絞りになっちゃう。EF50/1.4の場合は見た感じでもギリギリ大丈夫そうだ。


開放 - α7、JPEG

キレキレではないが、開放でほど良く写る。二線ボケも見えるけど、総じて素直で好ましい開放での描写。

実はこのレンズはあんまり使ってなかった。だってほら、、、EOSだしさ。ねぇ・・・



開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

前回、意識しないと絞ってばかり撮っちゃうのを反省したので、今回は意識して開放で使った。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

開放でスナップ。絞りを開け気味に近景をスナップしてると高画質なのでは無く、綺麗な写り。黄昏時は背景との距離によってはボケにカラーフリンジが目立つ。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

らしくも無く開放で撮る被写体を探す。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

遠景景色すら開放で撮る!

 
開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop 

で、開放で撮り続けた結果。グルグルするとか、大きく流れるとか、そういったオールドレンズ的な開放の描写とは違う。大口径の開放だから、それなりに甘いし、周辺減光だってある。でも、微妙に甘い描写はナカナカ美味しい。今時のレンズの開放のサンプルを拝見すると、もっとボケが綺麗でよりシャープではあるが、描写として個人的にはこれはこれで美味しい。が、ボケに色滲むので白黒の方が・・・


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

我慢できずに絞って撮る。家の玄関から木が生えてる・・・

 
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

遠景定点テストを見れば判るが、このレンズは絞りの画質向上効果が強くない。要するに少々絞っても劇的には画質が上がらない。カッチリと撮りたかったから中途半端に絞らずにF8以上に絞った方が結果は幸せ。



F1.4 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16 - F22



F1.4 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16 - F22

遠景定点テストをみると非常に面白い。少々絞っても画質はあまり上がらないと書いたが、開放からF4あたりまでは、ある意味ビックリする位に周辺画質が悪い。実際に使用した印象ではF4あたりまではピリっと来ないけど、素直に甘い描写と言うか目障りなクセが無い。少々非点収差見うけられるけど。。

これは昔のレンズとは目指してるコンセプトが違う様子だ。昔のレンズは開放ではオーバーコレクションのクセが強くても、1、2段絞ればグンっと画質が上がるレンズが多いが、このレンズは開放から大きなクセが出ないように作ってある印象。F2.8位ではキリっとして来ないので、風景撮ってると黄昏時は辛いだろうが、その代わりにボケテスト見て判るように綺麗なボケとクセの無い素直な甘さが得られるレンズ。球面収差は良くコントロールされている様子だが、軸上色収差はデジタルで使う基準にはなってない。前ボケ側に盛大にパープルフリンジが目立つ。

VOITGTLANDER S NOKTON 50mm F1.5ASPHERICALの時に、全てがコントロールされてる意図的な写りを感じたが、90年代、それまでの技術と制約とコストの中で高画質のモアベターを目指す設計の時代から、絵作りの意図が設計に入りだした時代なのかなっと思える。

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