2017年2月13日月曜日

RICONAR 1:2.2 55mm RICOH LENS MADE IN JAPAN 52Φ (575681)


RICONAR 55/2.2。リコーのKマウント標準レンズでは廉価だけど良く写るとXR RIKENON 50/2が有名。XR RIKENON 50/2が当時のカタログ価格が7、8千円だったと記憶してるが、7、8千円で当時でも安い印象だった。リコーやフジフィルムは当時は低価格品の輸出が主な市場だったようで、最廉価なレンズやカメラを作っている。日本で売ったのかどうかは不明。恐らく輸出だけだったのではないだろうか?

当時の開発関係の方から開発の経緯を伺う事が出来たので、当サイトとしては珍しく為になる情報を書きます。

輸出用一眼レフの生産コストを下げるようにの指示で50/2を全群繰出しを改めて、前玉回転繰出しに出来ないか設計者数人に相談したところ、一人だけ乗ってくれたとの事です。
あれこれ計算して50/2では厳しいけど、55/2.2なら何とかなりそうとスペックが決定。カメラとセットで2000個のテストマーケティング販売をし、追加で少量造られたそうです。

懸命に造られた、コストを切り詰めながらも性能とのバランスの取れたバジェットな良品ですが、テストマーケティングの結果は芳しく無かったとの事。50mmではなく、55mmだったのが市場に受け入れられなかった原因の一つだと分析されたようです。



「安いけど手抜きは無い」と仰られた通り、造りはXR RIKENONシリーズと遜色ありません。各部の動作も滑らかですし、質感も同等。馬鹿に軽い事も無く、重くはないけどスカスカな感じも無い。前玉回転繰出しの為なのか、最短撮影距離が80cmが少々物足りない。60cmだとさして不自由無いのですが、80cmだと「あ、駄目か」ってシーンが結構あります。それ以外は何も問題無いですね。苦労して生み出した画期的新製品が市場での反応が芳しく無かったのは残念だったでしょう。

さて、僕の最初に買ったカメラはリコーのサンキュッパ・XR500だとは前にも書きました。当時の貯めた小遣いで買える一眼レフは、XR500しか無かったので、ニコンFやF2、キヤノンのF-1とか全く眼中なし。あまりに現実離れした存在なので憧れもなし。自分の手が届きそうな価格のXR500が憧れの存在で、絶対に欲しいカメラだった。

低価格品のカメラって予算に余裕のある人が買う物では無いのですね。ギリギリの予算でカメラを買う層が買うカメラ。これは恐らく輸出市場でも同じ。そんなギリギリの予算でカタログと睨めっこしながら、許されたコストの中で何を買うか悩み考えるユーザーの気持ちは僕には判ります。

XR500に50/2のセットは、その点で一眼レフに憧れる少年の心に十分に響く物だった。シャッターは最高1/500で低速も1/8までだったけど、プリズム使ったファインダーは上級機と遜色無いし、50/2ってスペックだって十分に明るいし主だったメーカーの名レンズのスペック。39800円で買える立派な本格一眼レフだったです。人に安物って云われようが、買った本人には、遂に手に入れた本格的一眼レフカメラだった。

僕も彼らも手の届くなかで、立派な物が欲しかったのです。予算が無いから安物の造りの物が欲しいのでは無く、予算の中で立派な物が欲しい。そう云った意味だと、前玉回転繰出し、55mm、F2.2、最短80cm、と僅かづつではありますが、当時の一般的な本格品?からグレードダウンしたスペックが、物の良し悪しではなく、お金無いけど一眼レフが欲しいって層とマッチングしなかった原因に思えます。

技術者さん達が一生懸命作ったRICONAR 55/2.2は良く出来た物だと思うけど、「55mmで十分でしょ?」「F2.2で問題無いでしょ?」「最短80cmで我慢しなよ」って云ってきます。実際55mmでもF2.2でも十分で、最短80cmで困る事も少ないけど、夢が無いのです。今の僕はカメラに夢を見ないけど、当時は僕のようなユーザーは多かったのでは無いかな?夢見たかったよ。

造り手の情熱とユーザーの想いが正にマッチングしなかった不幸ですね。今の時代に手にして見るRICONAR 55/2.2は、造り手の知恵の詰まったステキな物です。なんか長々と書いてしまった。


開放 - α7、JPEG

ニュートラルに気持ち入れ替えて、先ずはお猿さん。

開放はピント甘い。親猿の目で合してるつもりだがピント無い。目の前後にもピント無いので、外したワケでは無さそう。前玉繰出しで不利になるのは近景なので、影響出る距離なのかも知れない。


F11 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

写ります。無問題です。今なら判る。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

やっぱり開放はピント無い。周辺減光は小口径なので激しくは無い。


F11 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F11 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F11 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

絞っての遠景は最外周以外はシッカリ写る。当時カラーネガで撮ってのDPE店プリントでは全く問題無かっただろう。と、云うよりXR RIKENONで比較すれば、高価な50/1.4より幸せな写りだ。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

前玉回転繰出でこういう状況の後ボケの癖は強烈(笑)


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

こんな時に最短80cmで寄れないもどかしさ。
ま、手にしてるスペックの範囲で撮り方考えるのも楽しいです。
開放はフレアっぽくてコントラストも下がる。


F11 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F11 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

絞れば抜けも良くて、EVFで覗いていても気持ちいい。


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

いう事ない。

今なら55mmもF2.2も最短80cmすら全部あり。スカっと写って楽しい。当時なら許せないスペックも、沢山手に入れてしまった今なら逆に嬉しいって人間って贅沢。ん?僕が贅沢なのか・・・


F2.2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16

遠景を撮るならF8まで絞りたい。F4、F5.6辺りでは中心以外はかなり甘い。中心部は良いので近くで人を撮ったりは問題ない。開放からF2.8は全体にかなり緩いので判ってないとガッカリ。判ってつかいましょう。


F2.2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16

開放付近の近接は、ハイライトが滲んでソフトフォーカス。小口径だけど、これはこれでポートレートレンズになるんじゃないですかね?
繰出すと、とろけちゃうのでボケも柔らかい。これ結構好きな人居るのでは?

生産数が少ない、あまり見かけないプチレア品なので、見つけたら買っといて。

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