2014年12月9日火曜日

Nikon NIKKOR-H.C Auto 1:2 f=50mm 2210474



以前紹介したNIKKOR-H auto 50/2のマルチコーティング版である。前身のNIKKOR-H auto 50/2の
発売が1964年で、H.Cとなってマルチコート化されたのが1972年らしい、今と違って以前は開発のペースがノンビリしてたのが伺える。スペック的にはマルチコート化された以外は変化無し。最短撮影距離も0.6mのまま。レンズ前枠が梨地銀から黒に変った以外はデザインすら変化無しなのは驚く位の変化の無さだ。今の新製品に追い立てられるユーザー達と違い、昔のユーザーは比較的長く心中穏やかで過ごせた物なのだ。



銀枠から黒枠になって印象が変るかって云うと、見た目の印象は変るって云えば変るけど、人によっては気付かないかもって位の差でもある。どっちが好みかと問われても、どっちでも良いって感じだ。


開放 - α7、JPEG

EVFファインダー覗いたり、撮った写真見るとモノコートのNIKKOR-H auto 50/2より、抜けが良く見えるのだけど、ウン十年も経ったレンズ同士の比較。コーティングの差に因る物か、コンディションの差に因る物かは判断不能。正直さっぱり判りません。


F5.6 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

大手町に建つ日本ビルヂングの横に居るプロメテウスさん。放火魔に見えるが人類に火をもたらした神様だ。足元には希望って書かれてるのが、東日本大震災の後の現在では「プロメテウスの火」を考えると切ない。

プロメテウスさんの後ろにそびえる「日本ブルヂング」は下からビルドアップした正真正銘のビルディング。今時の板張りビルと違い、軍艦の如き姿は重厚で好きなビルなのだが。そろそろ建替えられてしまうのではないかと危惧してるビルである。


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

もうちょい離れたいのだけど、後ろに引けずに少々窮屈。都心の裏道では50mmって苦しいんだよ。


F11 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

コンディションかコーティングか判らないけど、手持ちのNIKKOR-H auto 50/2より明らかに抜けがいい。まぁ、デジだと関係無い程度の差ですけどね。。。


開放 - α7、JPEG

NIKKOR-H auto 50/2と同じようにラストは飼猫を開放で撮る。最短0.6mは嬉しく無い。開放でもピントを掴み易いのは、これまたNIKKOR-H auto 50/2と同じか同等以上だ。



F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16



F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16

詳細に見ると、所有するH auto 50/2との比較では、開放からF4程度の比較では像の崩れは古いNIKKOR-H auto 50/2の方が少ない。フレアはH.C auto 50/2の方がスッキリしてる。

2014年12月8日月曜日

CANON LENS EF 50mm 1:1.8 Ⅱ CANON LENS MADE IN JAPAN (2901342E)



オーディオの世界にバジェット・ハイファイってジャンルがある。比較的低価格な製品なのだけど、ツボを抑えた作りで価格以上のパフォーマンスを示す製品が呼ばれるジャンルだ。大抵は外見や作りは安っぽい。しかし、コストの中で必要な所を出来るだけケアしてある。見た目は地味で高級感も無いから、判らない人には見向きされないが、判る人には重宝がられる。

バジェットレンズと云うに相応しいレンズがこれ。何しろ新品が実売1万円だ。EOS持ってて他の50mmレンズを持ってないなら、これを買っといて損は無い。否、買っとかないとダメでしょ。って位のレンズだ。どうかキヤノンさんにはこれを売り続けて欲しいと切に願う。



外装はほぼ全部プラ。プラのお陰かとっても軽い。ズシッと重いのは結構嬉しいのだが、それは家で遊んでる時の話。外に持ち出して実際に使うと軽いのは実にありがたい。

EFレンズの50/1.8には、Ⅰ型と呼ばれてる、これの前身のタイプがある。Ⅰ型は光学的には中身は同じなのだろうが、筒の造りはEF50/1.4と同様の立派な造りだ。それをワザワザ徹底的にコストダウンして造り直したのがⅡ型。

Ⅰ型の発売はEOS650と同じ1987年。その僅か3年後にⅡ型になる。Kissの前身の低価格フルスペック機、EOS1000QDの発売も1990年。どうやらEOS1000QDに合わせて低価格レンズとしたのかも知れない。1990年から現在までキヤノンはこれを売り続けてる。

EOSシステムになる以前のキヤノンのFDシステムは膨大なレンズ資産があって、EOSと併売されてた。EOSが売ってる時代でも、あえて新たにFDシステムを買ったと云うハイアマチュアやプロは多くいた。そのFDシステムを終了するのが1996年。恐らく、メーカーのキヤノンには怒りの投書や電話が数多くあったと想像出来るし、キヤノンさん自身も少なからず申し訳ない気持ちもあったと思う。ひょっとすると、1万円レンズを売ってるのは罪滅ぼしの意味もこもってるのかもね。。。


開放 - α7、JPEG

開放はボワっとしてる。


F11 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F11 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

開放で撮るのも飽きたから、もとのスタイルに戻る。F11でカッチリ撮るのは気持ちいい。


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F9 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

何故か木ばっかり。。。

なんかもっともらしい理由を後付して置かないと、、、そうだ、世界平和を祈って木を撮り続けてます。はい。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

紅葉を撮るつもりでブラブラしたのだけど、時期を逸してて殆ど落ちてた。見ず知らずのマンションの入口が色付いてから撮る。墓標みたいだ・・・

このレンズ、使ってると僕の頭の中にある一眼レフ用の標準レンズその物の写りだ。以前80年代は普通がポジティブになった時代と書いたが、正にそれ。普通に良く写る。ボケが特別綺麗で開放からバッチリとかって事はない。僕の知ってる当たり前の標準レンズだ。



F1.8 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16 - F22



F1.8 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16 - F22

このレンズも絞りによる画質向上はなだらか、キッチリとるならF5.6には絞りたい。EF50/1.4もそうだけど、開放は意外な位にホンワリだ。

ボケは特別綺麗ではないけど汚くもない。個人的にはこう云うボケで全然構わない。

2014年11月27日木曜日

CANON LENS EF 50mm 1:1.4 CANON LENS MADE IN JAPAN (2700429E)



言わずと知れたEOS用の50/1.4。実は一眼レフ用の標準レンズとしても興味深い一本なのである。ミノルタのα7000以降に各社AF一眼レフになって行くのだけど、それはカメラボディとズームレンズの新化の時代。80年代前半までに凡その単焦点レンズは必要にして十分な性能に達してしまったので、コーティングの改良などはあるにせよ、基本的には70年代後半から80年代前半に作られたレンズがそのまま流用されてるのが多かった。そんな中でEF50/1.4 USMは90年代に入ってから、新たに設計開発された珍しいニュージェネレーション・スタンダードレンズなのである。(ほんとかよ。)



絞りも含めて完全電気駆動レンズなので、他のカメラへの流用は基本的に無理なレンズだったのだけど。AFまで動作する中国製マウントアダプターが出てきてα7で不自由無く使えるようになった。素晴らしい中華アダプターは借物です・・・

それにしてもα7はキヤノンのレンズがNFD含めて良くマッチするな。純正みたいだ。

この素晴らしいアダプター、残念ながらEF50/1.0は物理的に蹴られる。撮影自体には支障無いけど、EF50/1.0の後玉はアダプターの内径よりデカイのでアダプター自体(と言うよりボディマウントも含めて)が絞りになっちゃう。EF50/1.4の場合は見た感じでもギリギリ大丈夫そうだ。


開放 - α7、JPEG

キレキレではないが、開放でほど良く写る。二線ボケも見えるけど、総じて素直で好ましい開放での描写。

実はこのレンズはあんまり使ってなかった。だってほら、、、EOSだしさ。ねぇ・・・



開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

前回、意識しないと絞ってばかり撮っちゃうのを反省したので、今回は意識して開放で使った。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

開放でスナップ。絞りを開け気味に近景をスナップしてると高画質なのでは無く、綺麗な写り。黄昏時は背景との距離によってはボケにカラーフリンジが目立つ。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

らしくも無く開放で撮る被写体を探す。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

遠景景色すら開放で撮る!

 
開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop 

で、開放で撮り続けた結果。グルグルするとか、大きく流れるとか、そういったオールドレンズ的な開放の描写とは違う。大口径の開放だから、それなりに甘いし、周辺減光だってある。でも、微妙に甘い描写はナカナカ美味しい。今時のレンズの開放のサンプルを拝見すると、もっとボケが綺麗でよりシャープではあるが、描写として個人的にはこれはこれで美味しい。が、ボケに色滲むので白黒の方が・・・


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

我慢できずに絞って撮る。家の玄関から木が生えてる・・・

 
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

遠景定点テストを見れば判るが、このレンズは絞りの画質向上効果が強くない。要するに少々絞っても劇的には画質が上がらない。カッチリと撮りたかったから中途半端に絞らずにF8以上に絞った方が結果は幸せ。



F1.4 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16 - F22



F1.4 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16 - F22

遠景定点テストをみると非常に面白い。少々絞っても画質はあまり上がらないと書いたが、開放からF4あたりまでは、ある意味ビックリする位に周辺画質が悪い。実際に使用した印象ではF4あたりまではピリっと来ないけど、素直に甘い描写と言うか目障りなクセが無い。少々非点収差見うけられるけど。。

これは昔のレンズとは目指してるコンセプトが違う様子だ。昔のレンズは開放ではオーバーコレクションのクセが強くても、1、2段絞ればグンっと画質が上がるレンズが多いが、このレンズは開放から大きなクセが出ないように作ってある印象。F2.8位ではキリっとして来ないので、風景撮ってると黄昏時は辛いだろうが、その代わりにボケテスト見て判るように綺麗なボケとクセの無い素直な甘さが得られるレンズ。球面収差は良くコントロールされている様子だが、軸上色収差はデジタルで使う基準にはなってない。前ボケ側に盛大にパープルフリンジが目立つ。

VOITGTLANDER S NOKTON 50mm F1.5ASPHERICALの時に、全てがコントロールされてる意図的な写りを感じたが、90年代、それまでの技術と制約とコストの中で高画質のモアベターを目指す設計の時代から、絵作りの意図が設計に入りだした時代なのかなっと思える。

2014年11月6日木曜日

NIKKOR-H Auto 1:2 f=50mm Nippon Kogaku Japan No.757941



一眼レフ用NIKKOR標準レンズのFからF2時代の代表選手のようなレンズ。これ以前Fの初期にNIKKOR-S銘で9枚羽のレトロフォーカスタイプがあるけど本流とはならず。NIKKOR-H 50/2はその後も引き継がれて行く生え抜き代表選手。

カラフルな墨入れは見て楽しい。ヤレるどころか半世紀経ってむしろ赴きが増す。ニコンさんにはノベルティで今時のレンズのビヤジョッキや、マグカップより、陶器でこんな湯呑茶碗を作って欲しい
よ。



フィルムで使ってた印象では、同時代の大口径標準のF1.4が軒並みバリバリ過剰補正の開放ホンワリ玉なのに対して、50/2は端整で優等生な印象だったが、α7で使うとどんな感じでしょうね。

アダプターでボディから遠く離れた蟹ツメが銃の照門みたい。


開放 - α7、JPEG

開放での後ボケはリンギング、二線ボケ、共にあるが、均一で像が崩れて流れる感じは無い。ピント面は開放からキレがある。前回のSUMMICRON-R 50/2の方が像の流れは多い位。


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

何時もカブの整備でお世話に成ってるバイク屋さん。遥々遠くまでピックアップしてもらったり助かってます。行くと「そろそろ買い替えじゃ無い」とウルサイけどね。「目指すぜ!20万キロ!」。

都心でこんな風にポツンと感がある建物は珍しい。

 
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

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F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

立ち食い蕎麦を食べにワザワザ足を運んだ西葛西。目当ての蕎麦屋は休みだった・・・ ブラブラ歩いて気づいた、西葛西には3桁局番の看板が数多く残ってた。電話番号は7桁が覚えるのにリズムが良い。8桁覚えにくい。


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

久しぶりに近所の公園を抜けようとしたら、通れた所が通れなく成っていた。この状態は明らかにハッピーな状態では無いな。話拗れてしまってるのが良くわかります。あ~切ない。>と、くだらない話ばかりで、全く写りの事に言及しないのは、ご覧の通りに語る事無く写るから・・・
とは言いながら、今回は特に前回のSUMMICRON-R 50/2と較べて思う事は凄くあるのだが、情緒的な話になりそうで、上手く文に出来ないので語らない。否、語れない。

 
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

機械や道具、人の作った物を話そうとすると、最後は情緒的な話に詰る。それは恐らく、間違いなく存在する違いを、何が違うのか理解出来ず、更には違いを的確に表現する抽象的な言葉を持ってないから情緒になっちゃうんだよ。。。きっとね。

「官能的な写り」とか「味わい深い」などと、少なくとも文にはしたくない。(使っちゃうかも知れないけど・・・・)でも、クオリティって意味の画質とは異なる違いは感じてるのですよ。イロイロとね。今回はあらためて上手く言葉に出来ない違いを考えさせらた一本だった。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

数日に渡って持ち歩いて撮っても、開放で撮らないんだよ。つくづくとレビューとかに向いてないのだと思う。仕方無いから自宅で飼猫を開放で撮る。開放でもピントは非常に掴み易い。


F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16


F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16

開放は全体にフレアっぽいが大きな破綻無く、素性の良さがうかがえる。絞る程に鮮鋭にF5.6で十分、F8で文句なし。急に周辺が流れるとか、ストンと光量が落ちるとかの癖が無く、周辺減光も画質の変化もなだらか。端整な印象はフィルムで撮った印象と同じ。

2014年9月27日土曜日

SUMMICRON-R 1:2/50 LEITZ WETZLAR 2703119



暑さに負けて写真を殆ど撮らなかった夏も過ぎ、食欲の秋、写欲の秋。秘宝館再開の一本は借物のライカRマウント・SUMMICRON-R 50/2。

初期のライカフレックス用と基本的には変わって無いらしい。どこかで間違えて聞き覚えたらしく、勝手に7枚玉だと間違っていた。今回あらためて調べたら6枚構成だった。ライカに疎いのでカムの数え方も調べてみたところ、2カムって事が判明。目方は実測311g、F2なのにズッシリ。。。



スナップロックの専用フードが逆さ付け出来て、専用キャップで素敵に収まる。こう云うのって嬉しい。リアルタイムで新品を大枚叩いて購入した人が、キャップしながらニンマリしてた様子が目に浮かぶ。



せっかくのカッコイイ筒もアダプターでα7に着けると、こんな感じ。。。



開放 - α7、JPEG

久々に再開のお猿の親子。開放F2で非常に良く写る。流石高級舶来品。後ろのボケは硬い。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

開放からピントも掴みやすく、切れもバッチリ。F2とは云え、開放からこれだけ写る一眼レフ用の標準は多く無い。ボケは2線ボケもあるし、やっぱり硬い。その昔ドイツ人さんには綺麗なボケって概念が無かったらしい。Boke? Was boke? って云ってたであろう時代のレンズ。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

フレアっぽさが無く、コントラストが高いのには感心する。ハイライトが滲まずに、白が諧調保って再現されるのは素晴らしいな。



F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16



F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16

実使用だと開放でバッチリの印象なレンズだが、無限遠定点テストでも開放からコントラストが高く、中心部は優秀。ここでもフレアっぽさが無い。周辺画質にかんしてはF4までは成り行きで甘いが、F5.6から俄然均一になって来る。

ボケに関してはF2だからボケ量自体が小さい上に、硬いから特別嬉しいレンズではない。多くの一眼レフ用のレンズは少し絞るとボケ量はともかく、ボケが柔らかくなるのだけど、このレンズは硬さはあまり変化ない。ボケ量が減ってくだけな感じだ。