2015年1月4日日曜日

HEXANON 1:1.4 f=52mm KONISHIROKU No.4137167



小西六を名乗っていた頃のコニカのFシリーズ一眼レフ用の3本ある標準の一番大口径のF1.4。1960発売で52mmでF1.4を達成してるのは立派。お尻をボディに突っ込むようなレンズマウントでバックフォーカスを短くして果たしたようである。当時はまだ、一眼レフのマウントに関しては各社試行錯誤してた様子が伺えて、コニカのFマウントもパイプの中にレンズのお尻を差し込むエキザクタマウントから派生したような構造。完全自動絞りではあるが、レンズマウントのボディ内側からではなく、外側からの連動機構。



代表的な一眼レフ用のマウントアダプターが売られているSONY FE(E)マウントだが、Konica Fマウントアダプターは売ってないマウントの一つ。絞りを絞るのが自作するには少々面倒な仕組みなマウントなので、コニカ純正のFマウント接写チューブのマウントを利用してFEマウント変換アダプターを自作した。

このレンズをフィルムで使っていた印象は、年代を思うと大変優秀な大口径標準レンズの印象を持っていた。フルサイズデジで撮るのを楽しみにしていたレンズの一つ。さてさて、持ってる印象通りに写るか否か。


開放 - α7、JPEG

開放は全体にフレアが被ってるので、ピント掴み難い。


F2.8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

カメラは普通に使いましょう・・・(爆

F2.8、F4位で近景を撮ると、申し分無い。この写りはフィルムでの好印象そのままだ。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

開放はモワンっとズワン。。。

ボケは固く煩い部類。


F11 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F11 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

絞ると非常に良く写る。開けてモンワリ、チョイ絞ってクッキリ、絞ってバッチリと、三段活用で喜びたいところなのだが少々問題が・・・赤いお寺の写真でも少し出てる。



左F11、右F5.6

このレンズ絞ると、ど真ん中にシアン色のフレアゴーストが見事に出てくる。テカテカした材質の反射の強い絞り羽根に反射した光が前玉に反射するのだろう、古いレンズをデジで使うと結構見られる現象だけど、このレンズは盛大に出る。逆光と云う程の状態でなくても出る。横から射す光が原因では無く、被写体の光で出るのでフードや手でハレ切りしても容赦無く出る。

-------------- 2015.1.6 追記 --------------

前玉に反射と書いたけど、撮像素子に反射した光が絞り羽根の裏側に反射なのかも知れない。フィルムで目立たないのに、デジだと出るのは、その方が説明がつく。ここまで顕著で無くても、デジカメになってゴーストは、デジカメ過渡期にレンズメーカーさんが苦労してた事なので、機会があればメーカーの人に聞いてみよう。

--------------     ここまで    --------------


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F5.6 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

厳密に言うとセンターのフレアゴーストはこれらでも出てて、シアン色が被ってるが、目立たなく使えれば写りは良い。

フレアゴーストを差し引いても、年代思えば素晴らしい立派なレンズだ。そもそもフィルムで使ってた記憶では、こんなフレアゴーストの記憶無い。



F1.4 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16



F1.4 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16

2015年1月2日金曜日

Steinheil München Quinon 1:2 f=50mm 1742164



Roeschlein-Kreuznach Luxon 50/2 と同じBRAUN Paxette II用の3本ある標準レンズの一本。パチモン臭いLuxon 50/2と違い、ご存知 Steinheil München の代表的なレンズ銘のQuinonである。

Quinonを名乗ってるので、期待してしまう所だが、何しろLuxon 50/2がトイレンズも真っ青な凄い玉だったので、さして気持ちも高ぶる事無く使ってみた。でも、Quinonだからチョットは期待しちゃうかな・・・・ Macro-Quinon 55/1.9欲しいなぁ・・・



ご覧のように大変小型なレンズ。Luxon50/2は100g切ってる驚愕の小ささだったが、Quinon50/2は144gと50/2としては常識的な重さになってる。前玉もナカナカの存在感。筒やピントリングの造りもLuxonと比べて明らかに贅沢な造りになってる。

このQuinonにしてもLuxonにしても、レンズ構成図が不明なので、どんな構成なのかサッパリ謎?どこかに構成図ないのかな。。。


開放 - α7、JPEG

素晴らしいワケではないが、さしたる破綻も無く案外普通に写った。Quinonだけ使ってたら面白味も無く、「あ~、こんな感じかぁ。」ってレンズだと思うが、Luxonを知ってると「流石はQuinon、ワリと普通に写る!」と妙な感心を持てる。


F5.6 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

F5.6程度の絞りでは中心以外は像は崩れてしまう。


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F11 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F11 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

F11まで絞れば周辺までシッカリ写る。大人数集合写真だって、まぁ大丈夫。絞れば写るのだから、ここは流石はQuinonと褒めて上げたい。Luxonを思えばちゃんと写る事が偉い。もっとも樽型歪曲大きくて、気持ち悪いので全部直してます。悪しからず。

どうやら木と共生、或いは木が寄生してる様な家に惹かれるのが最近判った。過去の写真見ても多い。。。



開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

近景の開放での写りは、ボケ固いからピント面以外がグズグズっと崩れてく。昔の玉ってこう云う感じの多い。ホワっと溶けて行くのでは無く、グズグズってね。



F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16



F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16

まぁ、絞っていってもF8からでやっとと云う感じ。F11、F16でフルフレームカバーだけど甘い。Luxonはイメージサークルすら足らなかったから、それからすれば立派な高級品だ。

ボケも渦っぽさはあるけど、まぁ、こんなところでしょ。

で、このレンズの現役当時なら「悪い事言わないからQuinonを買っときなさい」と云う所だが、時は経って今現在、QuinonとLuxon、どちらが存在価値があるかと問われれば、凄すぎる写りのLuxonだよねぇ。



2014年12月9日火曜日

Nikon NIKKOR-H.C Auto 1:2 f=50mm 2210474



以前紹介したNIKKOR-H auto 50/2のマルチコーティング版である。前身のNIKKOR-H auto 50/2の
発売が1964年で、H.Cとなってマルチコート化されたのが1972年らしい、今と違って以前は開発のペースがノンビリしてたのが伺える。スペック的にはマルチコート化された以外は変化無し。最短撮影距離も0.6mのまま。レンズ前枠が梨地銀から黒に変った以外はデザインすら変化無しなのは驚く位の変化の無さだ。今の新製品に追い立てられるユーザー達と違い、昔のユーザーは比較的長く心中穏やかで過ごせた物なのだ。



銀枠から黒枠になって印象が変るかって云うと、見た目の印象は変るって云えば変るけど、人によっては気付かないかもって位の差でもある。どっちが好みかと問われても、どっちでも良いって感じだ。


開放 - α7、JPEG

EVFファインダー覗いたり、撮った写真見るとモノコートのNIKKOR-H auto 50/2より、抜けが良く見えるのだけど、ウン十年も経ったレンズ同士の比較。コーティングの差に因る物か、コンディションの差に因る物かは判断不能。正直さっぱり判りません。


F5.6 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

大手町に建つ日本ビルヂングの横に居るプロメテウスさん。放火魔に見えるが人類に火をもたらした神様だ。足元には希望って書かれてるのが、東日本大震災の後の現在では「プロメテウスの火」を考えると切ない。

プロメテウスさんの後ろにそびえる「日本ブルヂング」は下からビルドアップした正真正銘のビルディング。今時の板張りビルと違い、軍艦の如き姿は重厚で好きなビルなのだが。そろそろ建替えられてしまうのではないかと危惧してるビルである。


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

もうちょい離れたいのだけど、後ろに引けずに少々窮屈。都心の裏道では50mmって苦しいんだよ。


F11 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

コンディションかコーティングか判らないけど、手持ちのNIKKOR-H auto 50/2より明らかに抜けがいい。まぁ、デジだと関係無い程度の差ですけどね。。。


開放 - α7、JPEG

NIKKOR-H auto 50/2と同じようにラストは飼猫を開放で撮る。最短0.6mは嬉しく無い。開放でもピントを掴み易いのは、これまたNIKKOR-H auto 50/2と同じか同等以上だ。



F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16



F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16

詳細に見ると、所有するH auto 50/2との比較では、開放からF4程度の比較では像の崩れは古いNIKKOR-H auto 50/2の方が少ない。フレアはH.C auto 50/2の方がスッキリしてる。

2014年12月8日月曜日

CANON LENS EF 50mm 1:1.8 Ⅱ CANON LENS MADE IN JAPAN (2901342E)



オーディオの世界にバジェット・ハイファイってジャンルがある。比較的低価格な製品なのだけど、ツボを抑えた作りで価格以上のパフォーマンスを示す製品が呼ばれるジャンルだ。大抵は外見や作りは安っぽい。しかし、コストの中で必要な所を出来るだけケアしてある。見た目は地味で高級感も無いから、判らない人には見向きされないが、判る人には重宝がられる。

バジェットレンズと云うに相応しいレンズがこれ。何しろ新品が実売1万円だ。EOS持ってて他の50mmレンズを持ってないなら、これを買っといて損は無い。否、買っとかないとダメでしょ。って位のレンズだ。どうかキヤノンさんにはこれを売り続けて欲しいと切に願う。



外装はほぼ全部プラ。プラのお陰かとっても軽い。ズシッと重いのは結構嬉しいのだが、それは家で遊んでる時の話。外に持ち出して実際に使うと軽いのは実にありがたい。

EFレンズの50/1.8には、Ⅰ型と呼ばれてる、これの前身のタイプがある。Ⅰ型は光学的には中身は同じなのだろうが、筒の造りはEF50/1.4と同様の立派な造りだ。それをワザワザ徹底的にコストダウンして造り直したのがⅡ型。

Ⅰ型の発売はEOS650と同じ1987年。その僅か3年後にⅡ型になる。Kissの前身の低価格フルスペック機、EOS1000QDの発売も1990年。どうやらEOS1000QDに合わせて低価格レンズとしたのかも知れない。1990年から現在までキヤノンはこれを売り続けてる。

EOSシステムになる以前のキヤノンのFDシステムは膨大なレンズ資産があって、EOSと併売されてた。EOSが売ってる時代でも、あえて新たにFDシステムを買ったと云うハイアマチュアやプロは多くいた。そのFDシステムを終了するのが1996年。恐らく、メーカーのキヤノンには怒りの投書や電話が数多くあったと想像出来るし、キヤノンさん自身も少なからず申し訳ない気持ちもあったと思う。ひょっとすると、1万円レンズを売ってるのは罪滅ぼしの意味もこもってるのかもね。。。


開放 - α7、JPEG

開放はボワっとしてる。


F11 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F11 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

開放で撮るのも飽きたから、もとのスタイルに戻る。F11でカッチリ撮るのは気持ちいい。


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop


F9 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

何故か木ばっかり。。。

なんかもっともらしい理由を後付して置かないと、、、そうだ、世界平和を祈って木を撮り続けてます。はい。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

紅葉を撮るつもりでブラブラしたのだけど、時期を逸してて殆ど落ちてた。見ず知らずのマンションの入口が色付いてから撮る。墓標みたいだ・・・

このレンズ、使ってると僕の頭の中にある一眼レフ用の標準レンズその物の写りだ。以前80年代は普通がポジティブになった時代と書いたが、正にそれ。普通に良く写る。ボケが特別綺麗で開放からバッチリとかって事はない。僕の知ってる当たり前の標準レンズだ。



F1.8 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16 - F22



F1.8 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16 - F22

このレンズも絞りによる画質向上はなだらか、キッチリとるならF5.6には絞りたい。EF50/1.4もそうだけど、開放は意外な位にホンワリだ。

ボケは特別綺麗ではないけど汚くもない。個人的にはこう云うボケで全然構わない。

2014年11月27日木曜日

CANON LENS EF 50mm 1:1.4 CANON LENS MADE IN JAPAN (2700429E)



言わずと知れたEOS用の50/1.4。実は一眼レフ用の標準レンズとしても興味深い一本なのである。ミノルタのα7000以降に各社AF一眼レフになって行くのだけど、それはカメラボディとズームレンズの新化の時代。80年代前半までに凡その単焦点レンズは必要にして十分な性能に達してしまったので、コーティングの改良などはあるにせよ、基本的には70年代後半から80年代前半に作られたレンズがそのまま流用されてるのが多かった。そんな中でEF50/1.4 USMは90年代に入ってから、新たに設計開発された珍しいニュージェネレーション・スタンダードレンズなのである。(ほんとかよ。)



絞りも含めて完全電気駆動レンズなので、他のカメラへの流用は基本的に無理なレンズだったのだけど。AFまで動作する中国製マウントアダプターが出てきてα7で不自由無く使えるようになった。素晴らしい中華アダプターは借物です・・・

それにしてもα7はキヤノンのレンズがNFD含めて良くマッチするな。純正みたいだ。

この素晴らしいアダプター、残念ながらEF50/1.0は物理的に蹴られる。撮影自体には支障無いけど、EF50/1.0の後玉はアダプターの内径よりデカイのでアダプター自体(と言うよりボディマウントも含めて)が絞りになっちゃう。EF50/1.4の場合は見た感じでもギリギリ大丈夫そうだ。


開放 - α7、JPEG

キレキレではないが、開放でほど良く写る。二線ボケも見えるけど、総じて素直で好ましい開放での描写。

実はこのレンズはあんまり使ってなかった。だってほら、、、EOSだしさ。ねぇ・・・



開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

前回、意識しないと絞ってばかり撮っちゃうのを反省したので、今回は意識して開放で使った。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

開放でスナップ。絞りを開け気味に近景をスナップしてると高画質なのでは無く、綺麗な写り。黄昏時は背景との距離によってはボケにカラーフリンジが目立つ。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

らしくも無く開放で撮る被写体を探す。


開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

遠景景色すら開放で撮る!

 
開放 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop 

で、開放で撮り続けた結果。グルグルするとか、大きく流れるとか、そういったオールドレンズ的な開放の描写とは違う。大口径の開放だから、それなりに甘いし、周辺減光だってある。でも、微妙に甘い描写はナカナカ美味しい。今時のレンズの開放のサンプルを拝見すると、もっとボケが綺麗でよりシャープではあるが、描写として個人的にはこれはこれで美味しい。が、ボケに色滲むので白黒の方が・・・


F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

我慢できずに絞って撮る。家の玄関から木が生えてる・・・

 
F8 - α7、RAW>Lightroom>PhotoShop

遠景定点テストを見れば判るが、このレンズは絞りの画質向上効果が強くない。要するに少々絞っても劇的には画質が上がらない。カッチリと撮りたかったから中途半端に絞らずにF8以上に絞った方が結果は幸せ。



F1.4 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16 - F22



F1.4 - F2 - F2.8 - F4 - F5.6 - F8 - F11 - F16 - F22

遠景定点テストをみると非常に面白い。少々絞っても画質はあまり上がらないと書いたが、開放からF4あたりまでは、ある意味ビックリする位に周辺画質が悪い。実際に使用した印象ではF4あたりまではピリっと来ないけど、素直に甘い描写と言うか目障りなクセが無い。少々非点収差見うけられるけど。。

これは昔のレンズとは目指してるコンセプトが違う様子だ。昔のレンズは開放ではオーバーコレクションのクセが強くても、1、2段絞ればグンっと画質が上がるレンズが多いが、このレンズは開放から大きなクセが出ないように作ってある印象。F2.8位ではキリっとして来ないので、風景撮ってると黄昏時は辛いだろうが、その代わりにボケテスト見て判るように綺麗なボケとクセの無い素直な甘さが得られるレンズ。球面収差は良くコントロールされている様子だが、軸上色収差はデジタルで使う基準にはなってない。前ボケ側に盛大にパープルフリンジが目立つ。

VOITGTLANDER S NOKTON 50mm F1.5ASPHERICALの時に、全てがコントロールされてる意図的な写りを感じたが、90年代、それまでの技術と制約とコストの中で高画質のモアベターを目指す設計の時代から、絵作りの意図が設計に入りだした時代なのかなっと思える。